根明さんにはまだ内緒。 人と関わりたくない私たちの理想の社会を実現させる方法①
私は知らない人と話したくない。
人と関わらずに生きる方法をもしも初任給と引き換えに教えてもらえるならおそらく払う。初任給は親への贈り物に使うから翌月分の給料じゃだめですかと交渉したいという話は置いておいて、長い人生を考えるとその額でストレスが軽減できるならコスパがよいとさえ思えてしまう。
こんな私が「電話は好きなんです」などと言うわけもない。何のギャップも用意していない。典型的な最近の若者像に当てはまっていることに心地よさすら覚えている私のような人間が、曲がりなりにも社会人として過ごしているこの世の中は一体どうなっているのだろう。我ながら思う。
そんな私は学生時代にアルバイトをしていた。人と接することに苦手意識はあったが、その意識が今後社会に出た際に不利になることもわかっていた。だから一か八か飲食店のホールスタッフになった。
始めてみてわかったのは、店員という仮面を被れば人と話すことが苦ではないことだった。むしろ面白さすら感じていた。結局大学を卒業するまで6年続け、10代で打った大博打で勝ったと捉えている。
こんなことを言うと、社会に出て変わってしまったのかと思われるかもしれないが全くそんなことはない。根底はずっと変わっていない。母親以外に抱っこされると泣き喚いた乳児期から人との関わりを好かなかった。20数年という人生の中の、たった6年のアルバイト経験で変わるはずがない。
ふと思い出したが、就職活動中にこのアルバイトの話をよく出した。苦手な会話が好きになったと目をキラキラさせながらPRをした。今勤めている会社でも確か話した。正直あの時は盛った。だいぶ盛った。この記事が人事担当者の目に触れるような天罰は受けたくないので、今後は嘘を控えたい。
とにかく私は変わらず他人が苦手だった。
アルバイト中にも仮面がずれることはあった。働いていた店舗のお手洗いの場所がわかりにくいのか何なのか、やたら場所を聞かれた。忙しかろうと、怖い顔して手元の作業に徹していようとも、足が8本に見えるほど早歩きをしていようとも、お手洗いの場所を聞かれた。一旦自力で探してくれと内心思っていた。案内だって書いてあるだろうと。何となくでも検討がつかないのかと思ってしまうのは店員のエゴだろうか。
いっそ聞かれる前に答えてしまおう。入店と同時にお手洗いの場所をアナウンスしようか。「いらっしゃいませ。お手洗いはあちらです」とんでもない店員だ。
表ではにこにこしていたが、心の中ではこんなことを考えていた。嘘を控えた結果何か失った気もする。しかしどれだけ人との関わりに嫌悪感を抱いているか理解していただけたのであれば体を張った甲斐がある。
親がこの記事を見たら「あんたのどす黒い部分が出ていていいと思う」ときっと言う。そして「でもよく上の方が許したね」と続けるだろう。それは本当に私もそう思う。環境に感謝しつつ、話しかける側にも話しかけられる側にもなりたくない私が望む社会について語りたい。それをどれだけ渇望しているか伝えるために、急な暴露大会を開催したのというわけだ。
私が望む社会。
それは人との関わりが最低限で済む、例えばロボットとのやり取りだけでなんとかなる社会である。
極力人と関わりたくない私はロボットに相手をしてほしい。
ロボットが人に代わって対応してくれる。最近よくあるじゃんと思わずに読んでほしい。
盛ったPRによって最終面接をパスし入ったこの会社で私は出会ってしまった。
理想とする社会に一歩近づけるかもしれないサービスに。
やっと最も言いたいことに辿り着けそうだ。そろそろ本題に入れよとお思いだろうが、既に字数が1500近いので一旦ここで切る。
次回も、運命的な出会いを果たしたサービスのいいところも伸びしろと捉えているところも嘘偽りなくお伝えしようと思う。