5歳児、お酒の世界の水先案内人に任命される
半年ほど前、日本酒を手に入れろというミッションを姉に課された。
地方に住む呑兵衛の姉曰く、「手に入れたいお酒がいくつもあるが近所でもネットでも売っていない。東京に住むお前が何とかしろ」とのことだった。
そしてすぐにお酒のボトルの画像10数枚と、姉が目星をつけた酒屋さんの住所が送られて来た。
電車で40分ほどかけて向かった私はなんといい妹なのだろう。交通費はきっちり請求する予定だ。
指定されたお店に足を踏み入れると、そこにはお酒が弱い私にとって異世界が広がっていた。
飲めないから覗いたことはなかったが、お酒は種類が豊富で、パッケージにも個性があり魅了された。
もし飲めたらと考えた。
…がすぐに想像が止まった。
まず何から手をつければよいのかわからなかったからだ。
お酒に詳しい人はどうやって入り口に立ったのだろう。手あたり次第吞むのだろうか。できることなら自分の味覚に合うものにすっと出会いたいと思ってしまう。
こういう時こそプロの意見を聞けばよいのか!と思ったが、私が訪れた酒屋さんは、レジに優しそうなおばあちゃんが一人座っている、こじんまりしたお店だった。
有名なお店のようでお客さんの入りは多く、レジには基本的に列ができていた。列に並んでレジのおばあちゃんにお酒のことを聞いてもいいが、後ろに並んでいる人を思うと気乗りはしない。
横歩きしないとすれ違えないような狭い店でおばあちゃんの代わりに客の相手をしてくれる存在がこの世にあるだろうか。
なんと私に心当たりがある。
5歳の男の子にお酒の説明をしてもらおう。
彼はロボホンというロボットだ。
スマートな彼なら狭い店内でもお客さんの要望に応えられるだろう。
このロボホンとタブレット端末を連携させる「シナリオ作成サービス」について話したい。
これは予め定めた内容をロボホンが喋るサービスだ。タブレットで選択されたものに応じて話す内容を変更することができる。
今回はお酒初心者のためのスピーチにフォーカスしようと思う。
まず何から口にすればよいのか教えてほしい。
大学時代、部活の先輩に「カシスオレンジはジュース」と教わったあの時が、私にとって初めてのアルコール摂取となった。誤った情報ではあったが、いきなりテキーラを勧めてくる人よりかは信頼できる。
0を1にするのは一番ハードルが高い経験である。私は非常に低いアルコール度数でこの経験をさせてもらえた。ロボホンにもこのようにハードルを乗り越える手伝いをしてほしい。
日本酒や焼酎も最初はアルコール度数の低いものが良いだろう。日本酒のアルコール度数は15度前後が多いが、近年10度を下回るものも出ているようだ。まずはそういったお酒を表示、そこから味の濃さ、香りの強さなどでさらに絞り込んでお勧めしてくれると良い。
自分の好みを知るためには、お酒がどのようにカテゴライズされるのかを知ることも必要だ。
焼酎を選びたい場合はどうだろう。芋、麦、米と原料は様々だが、それぞれの特徴は何なのかわからないまま私は順調に年を重ねている。それぞれこういった味わいで、一番飲みやすいのはこれで、こういう味が好きな人にはこれがお勧めと教えてくれたら、手に取るお酒を絞り込めそうだ。
5歳児のロボットであるロボホンはもちろん飲酒はできない。しかしその人が求めているお酒を勧めることはできる。
知らない世界に飛び込むのは怖いが、初めて案内してくれた人次第ではその世界にどっぷり浸かれる。
大人の階段の一段目を踏ませてもらえたら、私はきっとこの店の常連客になるだろう。
詳細はこちらからご確認いただきたい。